食に関するコラム
このコーナーでは、暮らしのちょっとしたヒントや、気になるテーマをいろいろな角度から取り上げ、定期的におすすめしていきたいと思っています。皆様からの耳寄りな情報や、気になることも随時お待ちしています。
海老 今回のおすすめは海老 その2
海老の神秘を探る
前回の<海老 その1>では、海老の基本的な区分や栄養などについて調べてみました。どのコラムでもそうなのですが、書いていると、そのときの食材がどうしても食べたくなってしまうのです。特に、今回は、あまりにも海老にのめり込んでしまったため、週末に行ったお買い物の買い物かごには、これでもか、というくらい海老が並んでしまいました。
今回は、海老をちょっと変わった角度で海老にチャレンジしてみたいと思います。
 
海老のまか不思議
私たちが多く食べている海老の分類は、前回の<その1>で説明しましたが、そのなかで甘海老や、ボタン海老、シマ海老などの“たらば海老類”に属する海老は他の海老たちと違った特性があります。彼らは、卵から孵化し稚海老となるまでは雄として育つのですが、その後3〜4年のうちには全て雌へと性別を変えていく「雌雄同体」という特徴をもっているのです。たらば海老類の寿命は、2〜7才と長く、例えば甘海老であれば、3〜4才くらいでほとんどが雌化するそうなのです。たらば海老類で大きな海老は全て雌で、漁獲される甘海老の多くが卵を抱えているのはこのためだそうです。ちなみに、車海老類の寿命は約1才と数ヶ月、伊勢海老類の寿命は、一番長く8才ともそれ以上ともいわれていて、同じ成育期間のものであれば、雌より雄の方が大きいのだそうです。
 
早く大人になりたいわ
日常会話の中で人の成長を表現するときに“ひと皮むける”とか“脱皮する”という言葉を使いますが、海老はまさに脱皮する生き物です。だけど、どうやって脱皮をしているんだろう?脱皮現象は、海老の一生のうち数回繰り返されるのですが、脱皮前には、甲殻にあるカルシウムを血中に溶かしだして、古い甲殻の下に新しく柔らかい殻を用意するのだそうです。それから古い殻の胸の部分とお腹の部分の境が破られて、胸とアタマの部分の次にお腹の部分が脱皮していくのだそうです。脱皮直後の海老は軟らかいのですが、水分を急速に吸収して大きくなり、それに併せた新しい大型の殻は数時間で固くなるのだそうです。なんだか、神秘的ですね。海老を飼って脱皮の瞬間を見てみたい気がします。
血も涙もない?
だけど、先ほどカルシウムが血中に溶けだして、、、といってたけど、赤い血をした海老なんて見たことないぞ〜。人や魚は鉄を含むヘモグロビンという成分が血中にあるために血が赤くなるのですが、海老の場合はヘモグロビンではなく銅を含むヘモシアニンという成分であるため、赤くならず、ほとんど無色透明なのだそうです。そういえば数年前、ロブスターを生きたままボイルする料理方法に対して、動物愛護団体が「残虐だ」と抗議したことがあったのだそうです。そんなこといったら、白魚の躍り食いや鯛の活き造りを好んで食べている日本人って、一体、、、?
「うまい!」のわけ
海老には独特の甘味を持った美味しさがあります。食材の美味しさは“うま味成分”が大きく影響します。うま味成分には、昆布に多く含まれるグルタミン酸、かつお節に多く含まれるイノシン酸、貝類に含まれるコハク酸等は代表的ですが、海老のうま味に一番影響を与えているのはグリシンとうい甘味が強い成分で、それにグルタミン酸やイノシン酸等が複雑に絡み合い、これらの相乗効果によってあの甘味が生まれるのだそうです。ちなみに車海老に含まれるグリシンの量は、サバの10倍、アジの20倍なのだそうです。
タコ8本、イカ10本、エビ何本?
タコの足は8本、イカの足は10本。これ常識ですが、海老の足って何本か考えたことがありますか?こんな疑問を持つのは私くらいでしょうか?海老の辞典を開くと、頭胸部(一般にアタマとして扱われる部分)から5本の歩脚と呼ばれる脚が、また、可食部分である腹部には遊泳肢と呼ばれる5本の脚があります。これは名前が登場する海老全てに共通していて、総称して十脚目として区分されています。また、店頭で見かける海老で、この十脚目に含まれないものには、シャコやアミがあります。そういえば、先週末に買ったシャコを茹でたのはいいものの、どこをつかんでもチクチクするし、どうやって皮をむいていいのかわからず、途方に暮れてしまいました。ちなみに、シャコは「トゲエビ上目」という分類になります。うん、言い当てている気がする。
海老を見分けるコツ
一般の店頭では、なかなか活きた海老にお目にかかることはできないし、お目にかかったとしても買い物かごに入れるには、多少勇気がいるような高いものが多いですよね。海老は鮮度が落ちると、本来持っている酵素が働かなくなるために軟らかくなり、だんだんと生臭い臭いに変わってきます。それから透明のドリップ(液汁=うま味成分)が出始めます。購入する際には、大きさに見合う重さがあり、身に張りがあるものを選ぶようにしましょう。腹の部分や尾のあたりに黒班があるものは、鮮度が落ちているものが多いそうです。冷凍と解凍を繰り返すとドリップが身から落ちてしまい、もったいないので、海老を買ったら、ドリップが出ないうちにさっさとおうちに帰りましょうね。

「独り言」
海老 ブラックタイガー、バナナ海老、シロ海老、シャコ、ついでに麻布の縁日で食べた車海老。週末にこれだけの海老を食べてしまっても飽きないのは、海老の美味しさ故か、はたまた私が懲りない性格なのか。それはそうと、麻布の縁日で食べた車海老は「ゆうき丸」(渋谷店03-3496-8989)というお店の屋台で買いました。このお店は、八丈島の漁師でもあるオーナーが自らの目で食材を選び、さらに魚の食べ頃を熟知した料理人が調理をしてくれる、私のお気に入りのお店のひとつです。機会があれば行ってみて下さい。それから、沖縄県の八重山諸島にある竹富島には、車海老がところ狭しと10匹も(!)入っている「海老そば」を1000円で(!!)食べさせてくれるお店があるとの情報を得ました。店名は不明なのですが、小さな島ですから行けばわかるとのこと。死ぬ前に絶対一度は行こうと心に決めました。 もちろん「セコムの食」でも、新鮮な海老を使った商品があります。小さいながらも身がつまった小海老や生アミを、腕の良い佃煮職人がじっくりと炊き込んだ「江戸前佃煮セット」です。これまでの、佃煮のイメージを覆してしまうほど、絶品の佃煮です。佃煮好きの方ならずとも食べていただきたい逸品です。
  猪口 ゆみ

参考文献:えび 知識とノウハウ 水産社(酒向 昇 著)
     海老 法政大学出版局(酒向 昇 著)

情報提供:エスケー食品株式会社

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