食に関するコラム
このコーナーでは、暮らしのちょっとしたヒントや、気になるテーマをいろいろな角度から取り上げ、定期的におすすめしていきたいと思っています。皆様からの耳寄りな情報や、気になることも随時お待ちしています。
ブリ 今回のおすすめはブリ
あけましておめでとうございます。ハルマゲドンだの、2000年問題だのという、昨年の大騒ぎをよそに、無事2000年を迎えることができました。よかったよかった。
さぁ、今年も美味しいものを探して、飽くなき追求を開始せねば。さて、昨年末は例年よりも、おせち料理が売れたのだそうです。おせちはもともと「節目に食べる、副食物の煮しめ」という意味合いがありますが、ことさらお正月にはおめでたい料理が食卓に所狭しと並べられます。お正月の魚といえば、鮭とともにその勇姿を現すのがぶりです。特に西日本地方で、おせち料理の傍らにいる寒ブリは、旬の時期のうま味を体いっぱいに蓄えて、他の食材に勝るとも劣らない美味しいお魚です。今回はブリがテーマです。お正月に食べた“ブリかま”は、うまかったなぁ、、、。
ブリの生き方
ブリは14〜17℃くらいの海を好むといわれ、水温の変化に応じて日本近海では、北海道沿岸から東シナ海までを回遊します。群れをなして泳ぐため、定置網漁のときには、大量に捕れることが多く、過去には一度に3万尾も捕れた記録があるとか。思わず船がズズズーーっと、ブリに引きずられたりしないのかなぁ? また、ブリの最高時速はなんと130キロ!は、はやいなぁ、、、。泳げない私としては、金魚でさえ尊敬してしまうくらいなのに、、、。そんな勢いで泳いでいて、間違って岩なんかにぶつかったりしたら、大怪我かなぁ。塩水が傷口にしみるんだろうな。
食いしん坊 ブリちゃん
大海をそんな超ハイスピードで泳いでいるんだから、体力つけなきゃやってられないんでしょう。ブリは大食漢で、手当りしだいバクバクと周りの魚たちを食べてしまうのだそうです。ブリちゃんのお好みはアジ、イワシ、サバ、イカ、イサキなど。狙われた魚たちはたまったもんじゃないでしょうが、そこは食物連鎖にのっとった図式が成立しているのでしょう。ブリちゃん、栄養つけてるなぁ。だから、あんなに美味しいのか。だけど、食いしん坊のブリを遠慮なく食べる私たちって超食いしん坊か、、、、。いや、どうせ食べるんなら、身ひとかけらも残さず食べて差し上げるのが、ブリに対する礼儀ってもんでしょう。
ブリの旬はまさに今。冬のブリは寒ブリと呼ばれ、脂ののりや身のしまりも最高です。

 
サラリーマンのあこがれ
ブリは、成長するにしたがって呼び名が変わることから“出世魚”と呼ばれています。ただ単に大きくなるだけで呼び名が変わっていくなんて、いまや崩壊しつつある年功序列制度に慣れ親しんだお父さんたちにとっては「君が羨ましいよ、、、、」とつぶやきたくなる魚かも。全部で100通り以上の名前をもつブリは、地域によっても違った呼び方をされていて、主なものは次のとおりです。
  • 関東
    ワカナゴ→イナダ→ワラサ→ブリ

  • 関西
    ワカナ→ハマチ→メジロ→ブリ

  • 北陸
    ツバエリ→コズクラ→フクラギ→アオブリ→ハナジロ→ブリ

  • 山陰
    ショウジゴ→ワカナ→メジロ→ハマチ→ブリ

  • 九州
    モジャコ→ツバス→ヤズ→ワラサ→ハマチ→ブリ
関東での呼び名を例にとると、一般的に体長15cmくらいまでをワカナゴ、40cmくらいまでをイナダ、60cmくらいまでをワラサ、90cm以上をブリとよびます。ブリは満1年で30cm、2年目で50cm、4年目で70cmに成長するといわれていますので、ブリと呼ばれるためには4年以上の間、荒波の中でたくましく生きなければいけないことになりますね。ブリはブリで苦労してるんだなぁ。
また、30年ほど前から、日本各地の暖かい海域でブリの養殖が行われるようになりました。これは、5〜6月にかけて沿岸で捕獲した稚魚を養殖していきます。大体2年間くらいの期間で、2〜3kg程度になったら出荷することが多いのだそうです。また、養殖したブリは、大きさに関係なく「ハマチ」の名称で市場に流通していることが多いようです。

ブリとその仲間たち
ブリには次のような仲間がいます。
  • カンパチ
    若魚のときに、上から頭を見ると八の字のマークがあるので“カンパチ”と呼ばれるようになりました。暖かい海を好み、大きいものでは1.8mにもなります。旬は夏です。

  • ヒラマサ
    日本近海に分布していて、ブリよりもややほっそりした感じがあります。ブリよりも暖かいところを好み、最大1.3mくらいに成長します。旬は夏です。

  • ブリモドキ
    “もどき”なんて、日本語ではなんだかかわいそうな名前がついていますが、英語ではパイロットフィッシュ(水先案内魚)と呼ばれています。サメなどに付き添って泳ぐことからこう呼ばれているそうです。体にイシダイのような模様がはいっています。

ブリの栄養
ブリは、たんぱく質と脂質が多く、天然ブリの100g当たりのエネルギーは257kcal(養殖ハマチは242kcal)です。ビタミン類もA,B1,B2,D,Eと豊富に含まれていますが、養殖魚は天然ブリよりもビタミン類が少ない傾向にあります。また、ブリには他の青魚と同じように、私たちにとってありがたい成分が含まれています。ドコサヘキサエン酸(DHA)は、記憶を向上させたり視力の向上にも役立つといわれています。DHA入りのパンを給食に加えた小学校では、生徒の視力が向上したという報告もあるとか。目を酷使している方には朗報ですね。また、エイコサペンタエン酸(EPA)は血中のコレステロールや中性脂肪を減少させる効果があるとされています。生活習慣病が気になる方にはおすすめです。

「独り言」
照り焼き 私とブリの出会いは強烈でした。暮れもおし迫った大晦日、食堂を営んでいた親戚の家に遊びにいった時のこと。突然、小学生だった私と同じ位の背丈のブリが、食堂のまな板の上で、でーんと一尾、横たわっていたのです。てかてかと光るブリを目の前にして、叔父が「ここの刺身が一番美味しいとよ。ここは焼いて食べるやろ?この辺は煮付けにしようかねぇ。」といいながら、鮮やかな手さばきで半身にし、脂がのった寒ブリの刺身をその場で食べさせてくれました。その感動たるや、幼き日の記憶ながら今でも鮮明に覚えています。以来、ブリはお魚屋さんでもおすし屋さんでも、私の胃袋に入る優先順位の高位置をキープしています。
さて、ブリといえば、“照り焼き”という方、おすすめの調味料があります。蔵つき酵母が生んだ秘伝の醤油「濁り醤」と、飲んでも美味しい「三州みりん」で照りをだしたブリは、いくら料理が下手な人でも美味しく仕上がること請け合いです。また、「塩焼き」好みの方には、天然塩「浜菱/山菱」が絶対おすすめです。料理の鉄人・陳建一氏も絶賛の「セコムの食」自慢の一品です。これらを使うと、調味料ひとつで、料理の味がずいぶん変わることを実感していただけることでしょう。

  猪口 ゆみ

参考文献:食材図典(小学館)
情報提供:長崎漁連

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