食に関するコラム
このコーナーでは、暮らしのちょっとしたヒントや、気になるテーマをいろいろな角度から取り上げ、定期的におすすめしていきたいと思っています。皆様からの耳寄りな情報や、気になることも随時お待ちしています。
ハマグリ 今回のおすすめはシジミ・ハマグリ
最後の晩餐で出会いたい
鍋の底には、海の仲間である昆布を敷かれ、その上に所狭しと並べられる。カチッという音と共に日本酒と思しき香りが徐々にたち込め、次第にジュルジュルと抵抗音を出すけれど、とうとう我慢できずに口を開く。つやつやしたハマグリの酒蒸し。うまいっ。貝殻に残ったつゆまで飲まなきゃもったいない。これからの時期は冷酒と合わせてひとくちでパクッといきたいですね。そして酒がすすんで飲みすぎた次の日にはシジミの味噌汁。自分で作るのは大変だから、作ってくれるヒトがほしいなぁ。
前回のアサリに引き続き、今回はハマグリとシジミについてご紹介していきます。貝は、美味しいだけではなく、身体にもとってもやさしい食材なのです。
 
まずは、シジミ
私たちがよく目にするシジミは、「大和シジミ」と呼ばれるものです。宍道湖や木曽川、利根川河口などの汽水域で獲れます。土用シジミと呼ばれるだけあって、旬は夏です。「真シジミ」は川の上流から中流にかけての淡水域などで獲れ、こちらは冬が旬です。「瀬田シジミ」は主に琵琶湖で獲れ、寒シジミと呼ばれています。旬は大和シジミと同様に冬です。瀬田シジミは、シジミのなかで最も美味とされていますが、冬は砂のなかにもぐる習性があるので、お料理の際には砂抜きをしっかりとね!
 
漢方のうんちく
漢方の世界では、シジミは黄疸やむくみを治し、母乳の出を良くするとされています。タウリンの含有量はハマグリに譲るもののメチオニン、シスチンなど肝機能を維持する成分が豊富に含まれています。「シジミの味噌汁は酒飲みに良い」という言い伝えがあるのもうなずけます。味噌も肝臓の働きには良い効果があるし、威力倍増!ということになります。私もたまにシジミの味噌汁が無性に飲みたくなるときがあるのですが、それって身体が求めているということなのでしょうか?
 
貝のうま味を満喫
貝の特徴的なうま味成分としてあげられるものにコハク酸があります。アサリのコラムでも触れましたが、コハク酸は日本酒にも含まれているうま味成分です。貝類のなかで、このコハク酸を一番多く含んでいるのがシジミ。小さい身体にうま味をギューーっと閉じ込めているわけですね。また、生のシジミやハマグリにはビタミンB1を壊す酵素であるアノイリナーゼが含まれているので加熱したものをいただきましょう。
 
そしてハマグリ
北海道南部から九州の内湾にかけて分布しているハマグリですが、現在では国内産のほとんどが有明海産なのだそうです。近海が汚れている証拠なのでしょうか?また、朝鮮ハマグリと呼ばれる種類は、外洋に面した砂地に住み、大きな物では殻長12cmくらいになります。身はややかたいものの、うま味が強く、寿司ネタとして利用されることもあります。また、支那ハマグリは、日本産のハマグリが激減したために輸入されるようになった品種です。味はハマグリとさして変わらないそうです。ちなみに10年ほど成長した朝鮮ハマグリは、その殻が碁石の材料となるのだそうです。
 
疲れしらずの貝パワー
貝には、栄養ドリンクなどにも含まれているタウリンというアミノ酸がたくさん含まれています。これは、疲労の原因となる乳酸が身体に溜まるのを抑えてくれ、疲労回復に効果を発揮してくれます。第二次世界大戦では、海軍のパイロットたちの疲労回復のためにタウリンを飲ませていたのだとか。また、タウリンは水に溶けやすい性質があるため、調理の際には、煮汁などの水分も残らずいただきましょう。
まだまだあるぞ、タウリンパワー
疲労回復だけではありません。タウリンは、血圧を上昇させる因子であるカテコールアミンの働きを抑えてくれるため、高血圧の抑制にも効果的です。さらに、タウリンは目にも良いのです。日常過ごしているなかで、紫外線やほこりなどで角膜が傷んだとき、その修復を早めてくれるのです。確かに私が愛用している目薬には「タウリン配合」と書いてある。ちなみに、タウリンの含有量が一番多い貝はサザエ、2枚貝のなかではハマグリに多く含まれています。

日々の仕事でヘトヘトで、短気でカッカしやすくてコンタクトをしているような方と飲みに行ったときには、何気なく貝類を酒の肴に頼んであげましょう。

繊細なハマグリ
ハマグリは、貝の中でも繊細な生き物です。海の汚染や海底の変化などに敏感で、環境が悪くなると粘液を紐状に出して自分の身体を引き潮に引かせて移動させるのだとか。この特性から、ハマグリのいる海はきれいな海、という図式が成り立つといわれています。以前はハマグリの主産地だった東京湾も、今ではなかなかお目にかかれないようです。
ハマグリで遊ぶ
ハマグリは、対になっている殻以外、他のハマグリの殻どうしを二つ合わせてもきれいに合わないことから、夫婦和合の象徴として、結婚式の引き出物や祝いの膳に利用されます。平安時代には、対の貝殻を合わせる「貝合わせ」という遊びが行われていたのだそうです。小さなお子様がいる方は、ハマグリを手に入れて、一緒に遊んでみてはいかがですか?

「独り言」
シジミ 先日シジミのお味噌汁をつくりました。だけど、お安く済ませてしまったために身が小さく味もイマイチ。結局、次の日しっかりとした身なりのシジミを買いに走ってしまいました。そしたら幸か不幸か、シジミの横には立派なハマグリとアゲマキ貝がうやうやしく鎮座しておりました。貝に関してこらえ性のない私は、結局全て買いこむことになり、その日はシジミのお味噌汁とハマグリの酒蒸し、さらにはボイルしたアゲマキ貝に味噌をつけて軽くオーブンで焼いたものをいただき、貝の魅力を満喫いたしました。個人的には、シジミの味噌汁のだしには、昆布が合うと思います。
さて、シジミの味噌汁に欠かせないものといえば、シジミと味噌。「セコムの食」でご紹介しているこだわり味噌はちょっとユニークな作り方をしています。味噌にビバルディの“四季”を聞かせながら熟成させているのです。最初笑っちゃったのですが、音楽を流すことで発生する振動が酵母菌を活発に働かせて、美味しい味噌ができるのだそうです。もちろん自信を持ってご紹介できる味です。一度、お試しください。

  猪口 ゆみ

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