食に関するコラム
このコーナーでは、暮らしのちょっとしたヒントや、気になるテーマをいろいろな角度から取り上げ、定期的におすすめしていきたいと思っています。皆様からの耳寄りな情報や、気になることも随時お待ちしています。
イワシ 今回のおすすめはイワシ
イワシの頭も信心から
これは、イワシの頭のようなつまらないものでも、信仰すると、ひどくありがたく思える、という意味の諺です。確かに、いわしの頭はあんまりありがたい気がしないけれど、身の方は煮る、焼く、揚げるのいずれでもきちんと美味しい。そして、栄養もばっちり。年中手に入るお魚ですが、旬は晩秋から冬にかけての時期。せっかくの旬ですから、いろいろな食べ方で旬のイワシを楽しみたいですね。今回は、イワシがテーマです。
 
イワシの代表選手
魚へんに弱いと書いて鰯(いわし)。いわしは傷みが早いためにこのような名前になったようです。それゆえにイワシのお刺身が美味しいお店には、その仕入れや腕に敬意を表してしまいます。イワシはニシンの仲間で、日本近海には24種類ほどいるといわれています。代表的ないわしは3種類。マイワシとウルメイワシ、それにカタクチイワシ。通常イワシと呼ばれているのはマイワシです。
 
これがイワシの生きる道
マイワシは日本近海で多く獲れ、生後1年で15cm前後、2〜3年で18cm前後に成長し、寿命は8〜10年、24cmくらいにまでなるのだそうです。思ったより長生きだけど、外敵が多く生き延びるのは大変なんでしょうね。集団で回遊しているのも外敵から身を守る手段の一つ。一匹一匹が小さいので、集まって大きな魚影を作って狙われにくいよう工夫しているんですね。過去の漁獲高を見ると、400万t以上獲れた時期もあったのですが、現在ではその1/10程度なのだとか。マイワシの漁獲周期は20年サイクルといわれていて、今年あたりは低迷期のようです。イワシは大衆の味方のはずなのに、高くなるのは悲しいですね。
 
五つ星どころか七つ星
マイワシは側面に7〜8つの白い点があります。このことからマイワシのことを“七つ星”と呼ぶ地方もあるそうです。その他にも、地方によっていろいろな名前で呼ばれていて、一説では78種類もの名前で呼ばれているのではないかといわれています。
 
ぱっちりウルウルのウルメイワシ
身体は灰色がかった薄青色で丸みを帯びています。目に膜がかかっていて目が潤んでいるように見えるためウルメイワシという名前がつきました。脂肪が少なめでその多くが加工用として利用され、ウルメイワシの丸干しは、他のイワシの丸干しよりも美味しいとの声もよく聞きます。国内では南日本近海で多く獲れるようです。
 
カタクチイワシ
成魚でも15cmくらいの小形のイワシで、下顎がとても小さく上顎の方が突き出ていていることから、この名前がつきました。ウルメイワシといいカタクチイワシといい、見たまんまの名前でわかりやすいですね。鮮魚よりもメザシや茹でて加工したものとお目にかかる機会が多く、じーっと見てみると結構愛嬌のある顔をしていますよ。背中の方が黒いのでセグロイワシとも呼ばれています。ちなみに、カタクチイワシの英語名はアンチョビ(anchovy)。イタリア料理でよくお目にかかるアンチョビの多くはカタクチイワシから作られています。
 
しらすとちりめんじゃこ その1
お酒の肴にもご飯のお供にももってこいのしらすは、イワシの稚魚です。では、しらすと姿形がそっくりのちりめんじゃことは親戚関係?実はこちらも、イワシの稚魚。多くの場合、カタクチイワシかマイワシの稚魚を釜茹でにしたものをしらす、その後乾燥させたものをちりめんとして販売していることが多く、Web上でしらすとちりめんじゃこを検索してみても、多くのものがこのような区別をされていました。
 
しらすとちりめんじゃこ その2
あとひとつ、いわしの稚魚の加工品を総称して関東ではしらす、関西ではちりめんじゃこと呼ばれる場合もあります。「セコムの食」で漁業関連の生産者の方にリサーチしてみたところ、北海道や千葉、静岡ではしらす、神戸、愛媛、長崎などではちりめんと総称することが多かったです。しらすという名前はイワシの稚魚が白いところから白子=しらす、また、ちりめんじゃこは乾燥させてちりちりした感じが絹織物のちりめんに似ていることに由来しているようです。ちなみに、たたみいわしとは、獲れたての生しらすを四角い形に干して乾燥させたもの。昔は畳に使う藺草(いぐさ)の上に干していたことから、この名前がつきました。

また、しらす(ちりめんじゃこ)は、市場に流通する際の大きさによって呼び名が変わります。例えば、長崎の煮干卸売り市場ではチリメン(1〜2cm)→チカ(2〜3cm)→カエリ(3〜4cm)→カエリ小羽(4〜5cm)→小羽(5〜6cm)→小中羽(6〜7cm)→中羽(7〜8cm)→大羽(それ以上)というように、呼び名が変わり、当然のことながら価格も変わってきます。
 
イワシの仲間たち
ここでちょっとイワシの仲間たちにもスポットを当ててみましょう。お寿司屋さんでシンコ、コハダといって出てくるものはコノシロという魚のことで、江戸前の寿司ネタとして有名です。シンコは幼魚、コハダは若魚のことをさし、関東地方では小さい方が好まれているそうです。また、鹿児島や長崎などでよく獲れるキビナゴは旬の時期にはお刺身や一夜干しにされます。お刺身のほうは、青魚が嫌いな人は見るだけでもゾーっとするくらい青光りしていますが、鮮度の良いものを手開きしてもらって生姜醤油で食べると結構美味です。
 
周知の事実、イワシのパワー
マイワシには、血液凝固を抑制して血管系の病気の予防に効果があるEPA(エイコサヘキサエン酸)や脳を活性化するDHA(ドコサヘキサエン酸)が多く含まれています。また、ビタミンA,B2,B6,D、鉄分などを多く含みます。カルシウムに関しては、マイワシの塩焼きが70mgなのに対して丸干しは1400mg、なんと煮干に至っては2200mg!(全て100gあたりの含有量)。ひゃぁ、すごいですね。イワシは丸ごと食べるべきですね。子供のころ、塩焼きにして食べ終わったいわしの背骨をオーブントースターでカリカリに焼いて食べさせられていたんですが、あれは大正解だったんだ。だから、好か不幸かこんなに骨太なんだなぁ、、、。

「独り言」
イワシ 実はわたし、子供の頃はイワシが嫌いだったんです。イワシの煮付けなどが夕食にあがると、あんまりすすんで食べなかった子供でした。魚の臭みを取るために少々いれる生姜が苦手だったみたいです。わたしが記憶力悪いのはそのせいか?(^_^;)。だけど、オトナになったせいか、今やわたしは“ひかりもの好き”。お刺身でも味噌煮でも何でもこい!です。
さて、「セコムの食」冬号でもイワシが主役の美味しい商品があります。料亭の味がご家庭でも楽しめる「とろいわしの山椒炊き」。100年もの間、守りつづけてきたぬか床に漬けこんだいわしをじっくりと炊きあげていますので、ご飯のお供にもお酒の肴にももってこいです。また、味噌、おかか、生姜煮の3種類揃えた「骨までやわらかく炊きあげたいわしの煮付け」は簡単お手軽なお夕食の一品として大活躍。ぜひ、クリックしてみてください。

  猪口 ゆみ

情報協力:長崎県漁連、兵庫県漁連、佐藤水産、フーズ・ユー
参考文献:キッチン栄養学(高橋書店 刊)
     四訂 食品成分表(女子栄養大学出版部 刊)
     食材図典(小学館 刊)

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